
住宅購入を検討する際、「家族が自然に顔を合わせられる家にしたい」「おしゃれで開放的な空間を実現したい」と考える方は多くいます。そんな希望を叶える方法の1つに、リビング階段があります。
リビング階段にはデザインなどの魅力がありますが、階段の位置は間取りに大きく関わるため、注意点も押さえておきたいものです。そこで今回は、リビング階段の特徴や魅力、間取りのポイントについて詳しく紹介します。新築住宅を建てる予定がある方は、ぜひご覧ください。
リビング階段とは?他の階段との違い

リビング階段とは、その名の通りリビングの中に設置する階段のことです。ここでは、リビング階段の特徴と、一般的な階段であるホール階段との違いについて解説します。
リビング階段の特徴
リビング階段は、2階に上がるには必ずリビングを通る設計で、「リビングイン階段」や「リビング内階段」とも呼ばれることがあります。
階段の配置方法も多様で、壁沿いに設置したりリビングの中央付近に配置したりと、さまざまなプランがあります。
ホール階段との違い
一般的なホール階段は、玄関ホールや廊下にあり、リビングを通らずに2階へ上がれる間取りです。
リビング階段とホール階段では、家族の動線や空間の使い方が大きく変わります。それぞれ暮らし方によって向き不向きやメリット・デメリットが異なるため、家族のライフスタイルや価値観に合わせて選ぶことが大切です。
リビング階段の魅力

展示場などではリビング階段が多く採用されているため、憧れを持つこともあるでしょう。ここでは、リビング階段の4つの魅力について紹介します。
- 家族が自然と顔を合わせる
- おしゃれなデザインをつくれる
- 動線が効率的になる
- 階段下のスペースを有効活用できる
理想のマイホームを建てるためにも、1つずつ見ていきましょう。
家族が自然と顔を合わせる
リビング階段のメリットは、家族が顔を合わせる機会が増えることです。玄関から2階の子ども部屋や寝室へ向かう前に必ずリビングを通るため、帰宅時や外出時に「ただいま」「いってきます」といった挨拶を自然に交わせるでしょう。
特に、子どもが思春期を迎えた際にも、顔を合わせるきっかけが自然と生まれるため、リビング階段にしたいと考える人も多くいます。挨拶一言でも、何気ない毎日のやり取りが、家族の絆を深める大切な時間となるでしょう。
おしゃれなデザインをつくれる
リビング階段は、デザイン性を高めるインテリアとしての役割も果たします。スケルトン階段を採用すれば、光や視線が抜ける開放的な雰囲気を演出できます。
また、吹き抜けと組み合わせると、縦の広がりを感じさせる洗練された空間をつくれます。階段自体がリビングの主役となり、目を引く印象的なデザインをつくれるのが魅力です。
動線が効率的になる
リビング階段を採用することで、家全体の動線がシンプルで効率的になります。玄関からリビングを通って階段へ向かう動線が短く設計されていれば、日々の生活の中で不要な移動も必然的に減っていきます。
特に、リビングを中心に水回りや玄関とアクセスできる間取りにしておくと、朝の忙しい時間帯の家事動線がスムーズになります。また、廊下のスペースを最小限に抑えられるため、その分、リビングやダイニングの広さに充てられるのも嬉しいポイントです。
限られた住宅面積を最大限に生かせるのも、リビング階段の魅力といえるでしょう。
階段下のスペースを有効活用できる
リビング階段の階段下スペースは、工夫次第で便利な収納や生活空間として活用できます。収納スペースとして利用すれば、リビングで使う小物や掃除道具、季節用品などをすっきりと片付けることができます。
また、ロボット掃除機の充電基地や、ペット用のスペースとして活用する方も多くいます。デスクやカウンターを設置して、ちょっとした作業空間にするアイデアも人気です。
モノが増えがちなリビングの収納アイデアについては、以下の記事でも詳しく解説しています。
関連記事:注文住宅で取り入れたい!リビングの収納アイデア6選
リビング階段にするときの注意点

リビング階段には魅力的なメリットがある一方で、事前に理解しておくべき注意点もあります。ここでは、リビング階段を採用する際に配慮すべき3つのポイントについて解説します。
- 音と臭いの配慮が必要になる
- 来客時のプライバシー配慮が必要になる
- 冷暖房効率が低くなりやすい
マイホームづくりで後悔しないためにも、1つずつ見ていきましょう。
音と臭いの配慮が必要になる
リビング階段は、リビングと2階の空間がつながっているため、音や臭いが上下階に伝わりやすいという特徴があります。リビングでのテレビの音や会話が、2階の廊下からも聞こえたり、キッチンの料理中の匂いが階段の上にいると気になったりといったことが起こることがあるでしょう。
対策としては、2階の寝室や子ども部屋のドアをしっかり設けて音を遮るほか、階段の上に小さなホールや収納スペースを挟んでワンクッションつくると、音や臭いが直接届きにくくなります。
来客時のプライバシー配慮が必要になる
リビング階段を採用すると、来客時に家族がリビングを通って階段を使うため、プライバシーの配慮が必要になる場面があります。
家族が部屋着のまま階段を降りてきたり、洗濯物を持って移動したりする姿が来客の目に触れてしまうこともあります。また、2階で過ごす家族の生活音がリビングに聞こえてしまい、お互いに気を使うといったことも。
対策としては、階段の正面にソファや飾り棚を置いて、視線が直接階段に向かないようレイアウトを工夫する方法があります。また、階段の脇に縦格子やスクリーンパーテーションを設ければ、完全に仕切らずに視線だけをやわらかく遮ることが可能です。
例えば、来客時だけロールスクリーンを下ろせるようにしておくと、普段は開放的に、必要なときだけプライバシーを高められるでしょう。
冷暖房効率が低くなりやすい
リビング階段は、リビングと2階がひとつの空間としてつながるため、エアコンの効き方に影響が出やすい間取りです。
暖かい空気は上にのぼる性質があるので、冬にリビングで暖房をつけても、暖気が階段を通って2階へ逃げてしまい、思ったほど部屋が暖まらないことがあります。
対策としては、2階にシーリングファンを設けて空気をかき混ぜることが有効です。家全体の断熱性や気密性を高めることもポイントです。
住宅の気密性については、以下の記事でも詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
関連記事:気密性の高い家とは?魅力や建築会社の選び方もチェック
リビング階段にするときの間取りのポイント

リビング階段を採用するときには、以下の点を押さえておきましょう。
- 冷暖房効率を考えて仕切れる前提で計画する
- 来客時の視線とプライバシーに配慮する
- 階段のタイプと安全性をセットで検討する
- 階段下スペースの使い道をあらかじめ決めておく
家族の人数や子どもの年齢、在宅勤務の有無などによって、マッチする階段の位置やタイプは大きく変わります。納得のいくプランを決めるには、住宅設計のプロに相談するのがおすすめです。
まとめ:リビング階段にするか迷ったら建築会社に相談しよう

リビング階段は、家族同士がコミュニケーションを取りやすく、おしゃれで開放的な空間をつくれる魅力的な選択肢です。家族が自然と顔を合わせる機会が増え、デザイン性の高い住まいを実現できます。
一方で、音や臭いの伝わりやすさ、冷暖房効率の低下、来客時のプライバシー配慮といった注意点も見逃せません。しかし、設計の工夫で解決できることが多いため、設計段階でしっかりと検討することが重要です。
初めての家づくりで不安な方は、実績が豊富にある建築会社に相談してみてください。実際の施工事例を見せてもらいながら、自分たち家族に合った最適な間取りを提案してもらえるはずです。

