
「無垢床に憧れるけれど、お手入れが大変そう…」そんな心配をお持ちの方は多いのではないでしょうか。実は、無垢床のお手入れは、思っているほど大変ではありません。
ただし、塗装の仕方でお手入れの方法が変わるため、建てる前にイメージを固めておくことが大切です。そこでこの記事では、無垢床で塗装の種類の特徴を解説し、日常から大掃除、ワックス掛けまでどのような手入れが必要になるかを解説していきます。
新築住宅で無垢床を取り入れたいと考えている方は、ぜひご覧ください。
お手入れ方法を左右する!無垢床の塗装の種類

無垢床のお手入れ方法は、表面に施されている塗装の種類によって大きく異なります。無垢床で使われる塗装には、主に以下の3つがあります。
・自然塗装・ワックス塗装
・ウレタン・UV塗装
・無塗装
それぞれ、どのような特徴があるのか詳しく見ていきましょう。
自然塗装・ワックス塗装
自然塗装やワックス塗装は、天然由来のオイルやワックスを木材の内部に浸透させていく塗装です。亜麻仁油やヒマワリ油などの天然油脂や、蜜蝋などを使います。
自然塗装やワックス塗装では塗膜を作らないため、木材本来の風合いや質感をそのまま楽しめるのが魅力です。また、木材の持つ調湿作用も保たれるため、素足で歩いても気持ちが良く、小さな子どもやペットがいる家庭でも安心して使えます。
そして、軽度の傷であれば部分補修ができるというメリットも忘れてはなりません。ただし、表面に塗膜がないため傷や汚れはつきやすく、撥水性も他の塗装よりやや劣ります。
そのため、定期的にワックスを上塗りする必要があることを理解しておきましょう。
ウレタン・UV塗装
ウレタン塗装やUV塗装は、合成樹脂であるウレタン系塗料を使用して、フローリングの表面に固い膜を作る塗装です。
傷や汚れに強く、撥水性にも優れているため、普段のお手入れの手間はそれほど難しくありません。光沢があり、美しく仕上がるのも魅力の1つです。
無塗装
無塗装は、その名の通り何も塗装を施さない状態の無垢床です。木材本来の色味や持ち味を楽しめて、自然な香りを感じられるという魅力があります。
しかし、汚れや傷がつきやすく、水分が木材の奥まで浸み込みやすいのが難点です。色の濃い木材では、靴下に色移りする可能性もあります。
家を建てる時に無垢材を使うメリット・デメリットについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
関連記事:無垢材を使った家を建てる!メリット・デメリットを詳しく解説
自然塗装・ワックス塗装の無垢床のお手入れ

自然塗装やワックス塗装の無垢床は、木の風合いを最大限に活かせる一方で、長持ちさせるためにはお手入れが欠かせません。ここでは、自然塗装やワックス塗装の無垢床の普段のお手入れから大掃除、ワックス掛けについて詳しく解説します。
普段のお手入れ
日常のお手入れは、まずほうきや掃除機や表面のゴミやホコリを取り除くことから始めます。次に、乾いた布やフローリングワイパーのドライシートで乾拭きしましょう。このとき、木目に沿って拭いていくのがポイントです。
水拭きを避けて、乾いた布やモップで行っていきます。しつこい汚れには、薄めた中性洗剤も使用できますが、最後は必ず乾拭きをしましょう。
大掃除
年に1〜2回程度の大掃除では、普段の清掃をより徹底的に行います。家具を移動させて普段掃除できない部分も清掃し、全体を乾拭きで丁寧に仕上げます。
必要に応じて軽い汚れは中性洗剤で拭き、隙間にたまったゴミは爪楊枝などで丁寧に取り除きましょう。
大掃除の際には、全体の状態をチェックして、次回のワックスがけのタイミングを検討することも大切です。表面の艶が失われてきたり、水の弾きが悪くなってきたりした場合は、ワックスがけの時期が近づいているサインです。
ワックス掛け
自然塗装やワックス塗装の無垢床には、定期的なワックスがけが欠かせません。1〜2年に1回程度が目安ですが、汚れ具合などにあわせて調整しましょう。
ワックスがけをするときには、以前塗装したオイルと同じメーカーのワックスを使用するのがポイントです。塗り方、塗布量、回数も、販売メーカーの指示に従ってください。
まずは、掃除をしてからワックス掛けの作業を始めます。目立たない部分で試し塗りをしたあと、問題がなければ木目に沿って薄く均一に塗布しましょう。規定の乾燥時間を必ず守ることも大切です。
ウレタン・UV塗装の無垢床のお手入れ

ウレタン塗装やUV塗装の無垢床は、表面に固い塗膜があるため、他の塗装よりもお手入れはそれほど難しくありません。普段のお手入れから大掃除、ワックス掛けの手順まで詳しく見ていきましょう。
普段のお手入れ
日常のお手入れでは、掃除機やほうきで表面のゴミやホコリを取り除き、乾いたモップややわらかい布で拭き上げます。汚れが気になる場合は、中性洗剤を薄めた水で雑巾を濡らし、固く絞って軽く拭き取ります。
ただし、必ず最後に乾いた布で水分を除去し、長時間の水浸しは避けてください。塗装していても、木材の水を吸収しやすい性質は変わらないためです。
大掃除
ウレタン塗装やUV塗装の場合、大掃除も基本的には普段のお手入れの延長です。家具を移動して全体を掃除機がけし、全体を乾拭きまたは固く絞った雑巾で水拭きを行い、最後に乾いた布で仕上げます。
ワックス掛け
ウレタン・UV塗装の無垢床は、基本的にワックス掛けは必要ありません。塗装自体に十分な光沢と保護効果があるため、追加でワックスを塗る必要がないからです。
ツヤを出したいなど特別な理由がある場合でも、まずは無垢フローリング専用の製品を確認し、メーカーに問い合わせてから使用しましょう。使用前には、必ず目立たない部分で試し塗りをするのがポイントです。
無塗装の無垢床のお手入れ

無塗装の無垢床は、お手入れにも注意が必要です。普段のお手入れや大掃除について詳しく見ていきましょう。
普段のお手入れ
塗装された無垢フローリングと同様に、普段のお手入れは表面のゴミやホコリを取り除いたあと、乾拭きするのが基本です。ただし、塗装されていないものは水を吸いやすいため、水拭きは避けましょう。
大掃除
無塗装の無垢フローリングを大掃除するときには、普段より丁寧な掃除を心掛けることが大切です。床の隙間に入り込んだゴミは爪楊枝などを使って取り除き、全体の状態もよく確認しましょう。
汚れやシミが気になる部分があれば、サンドペーパーで軽く磨くと効果的です。汚れの状況によっては、塗装を検討するのも1つの方法です。
無塗装のまま長く使い続けると、汚れが木の中まで染み込んで、落とせなくなることもあります。そうなる前に、早めに塗装を検討するとよいかもしれません。
無垢床のお手入れで気をつけたい3つのこと

無垢床を長持ちさせるためには、普段のお手入れに加えて、以下の3つのポイントを押さえましょう。
・湿度の管理をする
・傷の予防をする
・日焼け対策をする
それぞれ、詳しく解説していきます。
湿度の管理をする
無垢材の床は、湿度の変化にとても敏感です。湿気が多すぎると木がふくらんで反ったり、乾燥しすぎるときしんだ音が出たりすることがあります。
無垢材にとってちょうど良い湿度は、40〜50%といわれています。
そのため、新築時にはしっかりとした換気設計をしておくことが大切です。梅雨の時期は除湿機、冬は加湿器などを使って、季節に合わせて湿度を調整しましょう。
エアコンや暖房を使うときは、湿度が下がりすぎないようにすることも大切です。
傷の予防をする
無垢材の床は見た目が美しい一方で、傷がつきやすいという特徴があります。だからこそ、日ごろから傷の予防をしておきましょう。
たとえば、テーブルやソファの下にはラグやカーペットを敷き、ダイニングチェアの脚にはフェルトやカバーをつけるのがおすすめです。冷蔵庫や重たい家具の下には、透明な保護マットを敷くのもいいかもしれません。
普段の生活でも、スリッパを履いて歩いたり重いものを床に直接置かないようにすると安心です。ペットがいるご家庭では、爪をこまめに切っておくと良いでしょう。
また、床暖房やホットカーペットを使う場合にも注意が必要です。床暖房に対応した無垢材を選び、ホットカーペットは無垢床の上に直接敷かず、マットを敷いて使いましょう。
日焼け対策をする
無垢材の床は、紫外線によって少しずつ色が変わっていきます。きれいな状態を保つためには、日焼け対策が大切です。
たとえば、ブラックチェリーはもともと明るい色ですが、時間がたつと深みのある飴色に変わります。オークは黄金色に、パインは黄色みが強くなるなど、木の種類によって色の変化もさまざまです。
日焼けを防ぐには、遮光カーテンやブラインドを使ったり、UVカットの窓フィルムを貼るのが効果的です。直射日光が当たる場所にはラグやマットを敷いたり、家具の位置をときどき変えることで、色ムラを防げます。
また、UVカット機能のあるワックスやオイルでお手入れしたり、表面を削って再塗装する方法もあります。ワックス掛けや再塗装のメンテナンスは、専門業者にお願いすると安心です。
まとめ
無垢床のお手入れは、実際には塗装の種類にあった適切な方法を知っていれば、決して難しくありません。無垢床は適切なお手入れをすることで、合板フローリングでは味わえない豊かな表情と温かみを長く楽しめます。
新築をお考えの際は、ぜひ無垢床の魅力と適切なお手入れ方法を理解した上で、理想の家を建ててみてください。
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