
「せっかく家を建てるなら、快適で省エネな住まいにしたい」「新築住宅では、光熱費をできるだけ抑えたい」とお考えの方におすすめしたいのが、2025年に始まった「子育てグリーン住宅支援制度」です。
子育てグリーン住宅支援制度では、断熱性や省エネ性能、再生可能エネルギー設備などを備えた「GX志向型住宅」を含む一定の基準を満たした新築住宅は、最大160万円の補助が受けられます。省エネ性能が非常に高いため、光熱費を抑えられるだけでなく、環境にも配慮した暮らしを実現できるため、新築住宅を建てる人たちの中で注目されています。
そこで本記事では、「GX志向型住宅」に関する補助金の概要や申請条件、注意点などをわかりやすく解説します。新築を検討中の方は、ぜひご覧ください。
GX志向型住宅が対象の「子育てグリーン住宅支援事業」とは?

子育てグリーン住宅支援事業は、省エネ性の高い住宅を新築した場合や、省エネリフォームをした場合に補助金が支給される補助金制度です。「子育てエコホーム支援事業」の後続事業として、2025年の4月より実施されています。
この補助金制度は、エネルギー高騰化の影響を受けやすい子育て世帯や、若者夫婦世帯が、ZEH基準を上回る省エネ住宅を手に入れることを支援する目的で行われています。
対象となる住宅と補助額は、下表の通りです。
補助対象住宅 | 補助額 | 対象世帯 |
GX志向型住宅 | 160万円/戸 | すべての世帯 |
長期優良住宅 | 80万円/戸(※1) | 子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれか(※2,※3) |
ZEH水準住宅 | 40万円/戸(※1) | 子育て世帯または若者夫婦世帯のいずれか(※2,※3) |
(※1)古家の除去を伴う場合、20万円が加算される
(※2)子育て世帯は18歳未満の子がいる世帯
(※3)若年夫婦世帯は夫婦のいずれかが39歳以下
GX志向型住宅に必要な4つの要件

子育てグリーン住宅支援事業で最も補助額が大きい「GX志向型住宅」に必要な要件には、以下の4つがあります。
- 断熱等性能等級が6以上
- 再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率が35%以上
- 再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率が100%以上
- 高度エネルギーマネジメントの導入
それぞれ、どのような要件なのか詳しく確認していきましょう。
1.断熱等性能等級が6以上
GX志向型住宅に必要な要件の1つが、断熱等性能等級が6以上であることです。断熱等性能等級とは、通称「断熱等級」とも呼ばれるもので、品確法で定められた住宅の断熱性能を表す指標です。
断熱等級は、数字が大きければ大きいほど断熱性能が高いことを示します。なお、2025年の4月には、省エネ基準適合法が義務化され、断熱等級4以上の住宅でなければ建築できなくなりました。
断熱性能等級6以上とは、現在の最低基準である4よりも2段階大きく、非常に省エネ性能が高いことがわかります。具体的には、壁や天井に高性能な断熱材、窓に断熱窓を採用し、外気の影響を受けにくくして、冷暖房効率を高めていきます。
冷暖房効率が高い住宅は、自然とエアコンやヒーターの使用率も下がるため、光熱費の削減にもつながるでしょう。
2.再生可能エネルギーを除く一次エネルギー消費量削減率が35%以上
GX志向型住宅では、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率が「35%以上」である必要があります。
「一次エネルギー消費量」というのは、建物で使われる給湯機器や照明、冷暖房などの設備機器が消費するエネルギー量を熱量に換算した値のことです。
具体的には、高効率な空調設備や照明を採用し、断熱性の高い建材を導入することで、住宅内で消費するエネルギー量を少なくしていきます。
GX志向型住宅は、住宅で消費するエネルギー量を減らすことで、CO2の排出を抑え、カーボンニュートラルの実現に近づける、環境にやさしい住まいです。地球環境に配慮しながら、省エネで快適に暮らせるのが特徴です。
3.再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量削減率が100%以上
GX志向型住宅の要件の1つに、再生可能エネルギーを含む一次エネルギー消費量の削減率「100%以上」があります。
再生可能エネルギーとは、太陽光発電や蓄電池など、自然の力を活かしてつくられるエネルギーのことです。
GX志向型住宅では、再生可能エネルギー設備を活用して、住宅で使用するエネルギーを、すべて自給できる状態を作ることが求められます。光熱費の削減に加え、CO2排出量の抑制にもつながる環境に優しい取り組みです。
また、太陽光発電や蓄電池は、停電など災害時の備えにもなるため、安心・快適な暮らしを実現したい方にも設置をおすすめします。
4.高度エネルギーマネジメントの導入
GX志向型住宅の要件には、「高度エネルギーマネジメント」の導入も定められています。そのため、電気やガスなど、家庭で消費するエネルギー使用量をモニターやスマートフォンで可視化できる設備「HEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム)」コントローラーを設置する必要があります。
HEMSは、消費を抑えてエネルギーを賢く利用したいときにも役立ちます。住宅のエネルギー使用状況を「見える化」することで、省エネ意識を高め、より効率的で持続可能な暮らしにつながるでしょう。
GX志向型住宅を申請するときによくある質問

これから住宅を建てるなら、GX志向型住宅を建てたいと思う方は多いでしょう。ここでは、GX志向型住宅を建てて「子育てグリーン住宅支援制度」を申請するときの対象期間や予算の上限について詳しく解説します。
対象期間はいつですか?
子育てグリーン住宅支援制度は、着工時期や申請ごとに期間が定められています。詳しい期間については、下表をご覧ください。
工事の着工時期 | 2024年11月22日以降に着工 |
申請できる期間 | 申請開始から、予算がなくなるまで (※遅くとも2025年12月31日まで) |
事前に予約申請する場合 | 2025年11月14日までに手続きが必要 |
工事完了後の報告期限 | 戸建て住宅は2026年7月31日まで |
補助金を申請するには、GX志向型住宅として対象となる工事が、2024年11月22日以降に着手された住宅でなければなりません。また、戸建て住宅の場合には、2026年の7月31日までに工事完了報告をする必要があります。
補助金の活用を考えているときには、申請や着工、工事完了のスケジュールを、事前に建築会社と相談しておきましょう。
予算の上限額はどの程度に設定されていますか?
GX志向型住宅の補助事業は、住宅ごとに下記の予算上限が設けられています。
住宅の区分 | 予算上限 |
長期優良住宅・ZEH水準住宅分 | 1,350億円(令和6年度補正予算) 250億円(令和7年度当初予算) |
GX志向型住宅分 | 500億円(令和6年度補正予算) |
例えば、GX志向型住宅であれば、およそ31.25万戸分が確保されていることがわかります。補助金の利用を検討している方は、早めに申請を検討しましょう。
また、住宅省エネ2025キャンペーンの公式ホームページでは申請総額と残りの予算状況を随時確認できます。新築・リフォームなど部門ごとの内訳も確認できるため、検討中の方は定期的に確認してみてください。
対象外となるケースはありますか?
子育てグリーン住宅支援制度では、GX志向型住宅を建てた場合でも建築する土地や住宅の居住に関する要件が満たせない場合は、対象となるケースがあります。
建てたあとに補助金が受け取れない事態にならないよう、要件を確認しておきましょう。
【GX志向型住宅の対象外となる住宅】
- 証明書等により、必要な住宅性能が確認できない住宅
- 建築主(所有者)本人が居住しない住宅
- 床面積が50㎡未満または240㎡を超える住宅
- 除外地域に建築された住宅
- 完成から1年以上経過している、または人が居住したことがある住宅
- 交付申請時に、一定額以上の工事出来高が確認できない住宅
例えば、立地の除外要件に該当する住宅は、安全性や防災面でリスクが高いとされるため、GX志向型住宅の補助対象外となります。具体的には、建築地が「土砂災害特別警戒区域」や「災害危険地域」などにあたると、補助対象外となるため注意が必要です。
これから土地を購入する場合は、事前に建築会社や不動産会社へ相談することをおすすめします。
GX補助金は建築会社に相談しよう

GX志向型住宅の補助金「子育てグリーン住宅支援制度」は、省エネ性能の高い新築住宅を建てる方は、ぜひ活用したい制度です。ただし、申請期間や対象条件には細かなルールがあるため、事前確認は欠かせません。
補助を受けるには、事前にスケジュールを確認し、住宅会社ともよく相談して準備を進めることが大切です。お得に快適な住まいを実現するために、制度の詳細を理解した上で、建築会社に相談してみましょう。
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